帯広市における買い物弱者に関する将来推計(2012年1月)

おわりに

 今回の推計では、帯広市における買い物弱者は現時点で約3,400人、平成48年では店舗の閉店を考慮しない場合で約3,700人、一定の店舗の閉店を仮定した場合で約5,000人となりました。

 平成23年現在の買い物弱者がすべて夫婦世帯(2人世帯)を構成していると仮定すると、約1,700世帯となります。ここで、家計調査(総務省、H22)における2人世帯の月平均消費支出(食料)58,616円から、買い物弱者世帯の食料に対する年間支出総額を推計すれば、約11.2億円となります。これは、日本チェーンストア協会(スーパーマーケットなどが加盟)が公表している加盟企業における総販売額の1店舗平均約15.6億円(H22)の約70%に相当します。

 簡略化した推計ではありますが、このように買い物弱者の食料に対する需要は、帯広市において一定程度の規模で存在するものと思われます。現在この需要は、スーパーマーケット各社が実施している宅配サービスや、不便ではあるでしょうが、バスの利用や車を利用できる機会での買いだめなどによって、満たされているものと推測されます。

 買い物弱者については、経済産業省が「買い物弱者応援マニュアル」を発行し、買い物弱者対策の事例紹介を行っていますが、民間小売業者が主体となった事例が多数みられます。言うまでもなく「買い物」自体は商業行為であり、基本的には市場経済の中でやっていける方法、すなわち販売側に適正な利益が出る仕組みでなければ、継続的な取組となることは困難です。

 買い物弱者の数は、高齢者人口全体が増加するため、当面増えることはあっても減ることはないと考えられます。このことは同時に、実際の店舗ではなく、電話、インターネットなどにより買い物を行う、宅配サービスへの需要が拡大することを意味します。

 買い物弱者の増加とは別に、わが国においては運送網の充実などにより通信販売、近年ではインターネット販売が浸透し、実際の店舗によらない消費が重要な位置を占めるようになってきました。ただし、食料品については鮮度や単価の問題があることから、これまで他の商品に比べると宅配による購入という方法は浸透していませんでした。しかし、買い物弱者の増加に伴う需要増は、民間小売事業者にとってはビジネスチャンスとも言え、他の商品と同じように食料品の宅配サービスが展開、拡大されていくことが期待されます。現時点でも、イオン、いちまる、イトーヨーカドー、コープさっぽろなどの事業者が、帯広市内、さらには一部事業者は町村部においても宅配サービスを実施しており、実際に店舗に行くのと大きな差のない買い物をすることが可能になってきています。

 ただし、これら民間宅配サービスは、「ネットスーパー」とも称されるとおり、現段階では一部事業者を除いてインターネット経由での利用に限定されています。現在の高齢者にとって、インターネットを利用するための端末(パソコン、タブレット、スマートフォンなど)は、過去に比べれば身近になっているものの、未だ利用に二の足を踏む人たちも少なくありません。そのため、現在の民間宅配サービスでは必ずしもカバーできない高齢者が発生し、一部で行われているような買い物弱者に対する行政などの支援が必要な場面も出てきているものと考えられます。

 一方、今後、高齢者になっていく現役世代は、平成25年版情報通信白書(総務省)によれば、60~64歳でもインターネット利用率が7割を超え、40代以前は概ね95%程度にまで達しています。今後増えていく、インターネットを日常的に使用している高齢者にとっては、民間宅配サービスの利用に支障は少なく、また、利用者が増加していくことで、民間事業者側のサービスも一層充実していくものと思われます。したがって、今後の買い物弱者という問題を見たときには、行政などによる特段の支援を必要とせず、市場経済の仕組みの中で徐々に解消されていく可能性も低くないものと考えます。

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