帯広市における買い物弱者に関する将来推計(2012年1月)

 この資料は、先に推計した帯広市地区別将来人口推計(2011年9月)をもとに、帯広市内に存在する買い物弱者の数を将来にわたって推計したものです。

推計の目的

 わが国では、ここ数十年にわたって少子高齢化が進行し、すでに高齢者割合が全人口の21%を超える超高齢社会となっています。また、自家用車の普及によって、多くの地域でバスを始めとする公共交通が弱体化しています。このため、郊外型大規模店舗が住民の主な買物の場として機能している地方都市では、高齢などにより自家用車の運転が困難になると、日常の買い物にすら困難を来すことになりかねない状況があると言われています。

 経済産業省では、このような買い物に困難を感じる住民を「買い物弱者」とし、全国に約600万人存在していると推計しています。

 本推計は、帯広市においてこのような「買い物弱者」がどの程度存在しているのか、既存の資料を活用し、一定程度の目安として人数を算出することを目的としています。また、別に推計した帯広市の将来人口(帯広市地区別将来人口推計【2011年9月作成】)をもとに、今後、「買い物弱者」がどのように推移していくかについても、あわせて推計します。

本推計における「買い物弱者」の定義と、その推計方法

 先に述べた経済産業省の推計においては、アンケート調査で「日常の買物に不便を感じている」と回答した60歳以上の高齢者が16.6%いたことをもって、この割合を全国の高齢者数に乗じ約600万人と算出しています。

 一方、本推計では、下記のすべてに該当する者を「買い物弱者」として定義します。

  1. 65歳以上の高齢者
  2. 食料品を取り扱う市内各店舗(百貨店、スーパーマーケット及びコンビニエンスストア)から、半径350mの範囲に居住していないと推定される者(以下、「店舗半径350m外居住と推定される者」といいます)
  3. 自家用車の運転をしないと推定される者

 2. 及び3.の推定の方法は、次のとおりです。

「店舗半径350m外居住と推定される者」の推定方法

 「店舗半径350m外居住と推定される者」は、GISソフトである地理情報分析支援システム MANDARAを用いて推定しています。

 具体的な例を下図に示すと、GISソフトによって地図上に各店舗から半径350mの円を描き、このいずれかの範囲内に地区の代表点(概ね各地区の中心の点)が含まれない場合、その地区の全域について、居住している者が「店舗半径350m外居住と推定される者」としています。したがって、下図の場合は「西25条南1~2」に居住している高齢者の人数のすべてが、「店舗半径350m外居住と推定される者」になります。

図1-1

半径350m推定例図

※推定方法に関する留意事項

 より確実な推定とするには、地区の代表点で判断するのではなく、純粋に、各店舗からの円に含まれる範囲から外れる区域に居住する高齢者を「半径350mの範囲に居住していない」とするのが望ましいと思われますが、厳密に範囲外に居住する高齢者数を算出することは困難です。

 また、各地区について、範囲内面積と範囲外面積との按分により人数を算出する方法もありますが、使用しているGISソフトに該当の機能は存在せず、手計算では多大な作業量となる見込みであったことから、採用しませんでした。

 なお、今回の推定方法では、店舗の位置によっては、半径350mの範囲にどの地区の代表点も含まれない店舗が出てきますが、各店舗について、店舗が所在する地区に限り、代表点が範囲に含まれるか否かにかかわらず、半径350mの範囲に含まれるとみなしています。

「自家用車の運転をしないと推定される者」の推定方法

 「自家用車の運転をしないと推定される者」は、平成18年及び平成23年の交通安全白書(内閣府)に掲載されている平成17年末、平成22年末の5歳階級別の免許保有者数(男性)を基礎に、この5年間における各年齢階級の免許保有者数の変動率から、平成23~48年まで5年毎の65歳以上の免許不保有率を推計し、これを帯広市の高齢者人口に乗じて人数を算出しました。算出した各年の推定免許不保有率は下の表1-1のとおりです。

表1-1 推定免許不保有率(=1-免許保有率)

推定免許不保有率

 なお、免許不保有率の推定にあたって男性の免許保有者数を根拠としているのは、高齢者が夫婦で世帯を構成しているとき、夫婦のどちらかが自動車免許を保有していれば、自家用車を利用できるとみなせると考えたためです。もちろん、高齢者が夫婦で世帯を構成するとは限りませんが、下表1-2で示すとおり、平成22年度高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果(内閣府)の外出手段の問いにおける「自分で運転する自動車」と「家族などの運転する自動車」の回答割合の合算と、男性の免許保有率が概ね数%程度の相違であったことから、簡略化のためこのような推定方法としました。

表1-2 平成22年度高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果の外出手段回答割合と免許保有率の比較

平成22年度高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果の外出手段回答割合と免許保有率の比較

店舗について

 本推計で対象とした店舗は下記のとおりです。

百貨店
藤丸
スーパーマーケット
いちまる帯広市内全店(10店舗)
フクハラ帯広市内全店(10店舗)
ダイイチ帯広市内全店(6店舗)
コープさっぽろ帯広市内全店(2店舗)
売鮮市場テキサス、どんどん西5条店
長崎屋帯広店、MEGAドン・キホーテ西帯広店
イオン帯広店
イトーヨーカドー帯広店
コンビニエンスストア
セブンイレブン帯広市内全店(30店舗)
ローソン帯広市内全店(18店舗)
セイコーマート帯広市内全店(26店舗)

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